電光石火のうなぎパイ
贈り物は難しい。
夏も終わった頃ということで友だちから旅行のお土産をもらった。
フィレンツェ土産、革の栞。
渡す相手をイメージしてそれぞれ違う色の栞を買ってくれたとのこと。僕は栗色。意外とまともなイメージを持たれてるみたいで安心した。ありがとう。
ロンドン土産、お茶。
気が利いてる。ティー文化ですもんね。美味しかった。ありがとう。
沖縄土産、Lindtのチョコレート。
本当はご当地ビール買ってたけど、持ってき忘れたからお詫びのお土産とのこと。よくわからないけどありがとう。ちなみにそのビールは自分で飲むらしい。マジで何?
僕も出張で行った名古屋のお土産としてうなぎパイをあげた。
うなぎパイは僕の好きな名産お菓子ランキング5位以内は確実の美味しいお菓子だ。
なのにそのお土産を渡したとき、1枚のうなぎパイが(或いはそれを渡す自分が)ひどく滑稽に思えた。
おそらくお土産を貰ったときに「実は僕も...」と渡したのがよくなかったんだろう。
この渡し方、お土産を渡すのがほぼ同時なのでプレゼント交換みたいな図式になる。そうするとどうしても貰ったものとあげたものを比べてしまう。ましてやこの場合僕は後出し。後に出したものが見劣りする場合、まあまあ盛り下がる。
じゃんけんで後出ししたのに負けるような滑稽さ。
栞をくれた彼は出会い頭に改札前で「渡すものがあるんだよ~」とおもむろにカバンからお土産を出してくれた。さすが高い知能を持つロボゴリラ。このシチュエーションを想定していたのか。
僕も相手の出方を見るより先にお土産を差し出していれば愛するうなぎパイに恥をかかせることもなかったのだ。
「贈り物は先手必勝」
そう言っていた母の言葉が身に染みる。